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February 2008

自殺者を診るのは敗戦処理か?

少し前にこんな記事を発見。

救命医 「敗戦処理」に漂う徒労感
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/e20080212001.html

仕事の8割は「敗戦処理」、というくだりで始まる。
このことを語った医者は、がん専門の外科医時代、治療は延命や痛みの緩和などで、消極的に感じたという。
その後、「自分の技術で、これから長く社会で活躍できる人を救いたい」の思いで救命医に転身した経歴を持つ。
しかし、自殺者への対応は、がん患者とは別の徒労感を感じたという。
また、自殺者は他の病院が引き取りたがらないのだという。
> むろん命に軽重はない。だからこそ、「死」を敗北と考える医師にとっては、自ら死を選ぶ人たちが許せない。
との文が重い。
最後にはこんな文が。
> 「自殺での搬送は3アウト制にしたらいい。搬送するのは3回まで。1回目、2回目は診るが3回目はもう診ない」
医者にこう思わせるほど、自殺者を診るというのは大変なのだ。
自殺することで、自殺した人の家族や親戚、友人だけでなく、医者や看護師などもつらい思いをするのだ。
私は、そのことに気付かなかった。

自殺者を診ることに対し、「敗戦処理」というのはいい表現ではないだろう。
でも、医者から見ればそう考えたくなるほどの仕事でもある。
こればかりは、医者や看護師を増やしたり給料を上げればいい、という問題ではない。
交通事故の年間死者より多い年間約3万人の自殺者、あるいは自殺しようとしている人を少しでも減らさなくてはいけない。
それは大変なことだと思うが、まずは地道にいろいろとやっていくしかない。

トップとしての心構え

社長や経営者に求めたい、「トップとしての心構え」ランキング
http://ranking.goo.ne.jp/ranking/014/president_preparation/
より。
社長や経営者に限らず、誰でも参考になりそう。

1. 決断力がある 100
2. 責任転嫁しない 99.9
3. 人間的な魅力がある 83.7
4. 信頼感がある 81.2
5. 差別、ひいきがない 77.3
6. 尊敬できる 74.4
7. 先見の明がある 59.5
8. ビジョンがある 55.3
9. 人脈がある 54.6
10. 考え方がポジティブ 54.3

11位以下、モチベーションをあげてくれる(11位)、裏表がない(12位)、品がある(14位)、逆境に強い(15位)など。
個人的に意外だったのは、「カリスマ性がある」が25位だったこと。
これは「人間的な魅力がある」に含まれるから低いのかな?
ちなみに、1つだけ求めるなら私は「信頼感がある」。

トップ10も含め、上の記事にある30の項目をすべて兼ね備えた人というのはなかなかお目にかかれない。
企業トップですら、トップ10をすべて兼ね備えている人はいないだろうし(その代わり、何か突出したものを持っていたりするのだろうけど)、仮にこういう社長がたくさんいたら日本は永久に好景気のはず。
けれど、自分が努力することで、上のトップ10のスキルを兼ね備えたようなすばらしい人に近づけ、またいつかきっと会えるはず。

Followership, Leadership, Autonomy

少し前のこと。
2008年のラグビー大学選手権で、早稲田大学が2年ぶり14回目の優勝を遂げた。
そのチームの監督が、就任2年目の中竹竜二氏である。

中竹氏を語る上で重要なキーワードが、「フォロワーシップ」(Followership)である。
「フォロワーシップ とは」(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20070420/269065/)ではただ一言、「部下の力」であり、「上司の指導力や判断力を部下が補完し、組織成果を最大化することを狙う。貢献力と批判力で構成される」と続く。
これではあまりにも漠然としているので、中竹氏と共に働いていた仲伏達也氏の書いた「フォロワーシップ型組織の時代 ~早稲田大学ラグビー部に見る組織の進化~」(http://www.mri.co.jp/COLUMN/TODAY/NAKABUSHI/2008/0129NT.html)の文章を一部借りるなら、

  • 「リーダーに依存せず、共通の目標に向かって、構成員一人ひとりが自らの頭で考えながら行動する」力
  • 「いつでもリーダーになれるだけの素養」
  • 「リーダーの立場を理解しながら行動しつつも、必要な場合には恐れることなく諫言できる」力
をまとめたものだともいえるだろう。
ここでいうフォロワーとは、「後追い的に物まねをする人」のような悪い意味ではなく、リーダーについていき支える人、くらいに捉えればよいだろう。

「リーダーに依存せず、共通の目標に向かって、構成員一人ひとりが自らの頭で考えながら行動する」ことは、いわば「自律的(autonomy)に行動する」ということである。
ただし、これには自己管理など、字の如く「自己を律する」ことが必要になる。
また、「自らの頭で考えながら行動する」ことは、「意識の介在なしに行動する」 (http://www.dnp.co.jp/artscape/reference/artwords/a_j/automatism.html) オートマティズムとも、ニュアンスは異なる。
意識の介在なしに最善の行動が取れるのであればよいのだが、現実には難しいだろう。

「いつでもリーダーになれるだけの素養」というのは、とどのつまり「リーダーシップ」 (Leadership) があるかどうかにつながる。
ここでのリーダーシップは、フォロワーシップとある意味対極にある概念だ。
とはいえ、リーダーシップの資質だけ見れば(Wikipediaより引用)、たとえば
・孫子: 智・信・仁・勇・厳
・カール・フォン・クラウゼヴィッツ: 知性と情熱を兼ねる高度な精神・危険を顧みず自身の行動に責任を負う勇気・不確実な事態における洞察力・洞察に基づく具体的な行動する決断力など
と、リーダーシップに限らず有用なものが挙げられている。
ただし、リーダーシップは一朝一夕に身に付くものではなく、本人の素質もあるので、育成は難しい。
よき模範者がそばにいるなど、環境の良し悪しもあるからだ。
個人的には、恐怖で相手を服従させるリーダーシップよりは、能力の高さなどで畏敬の念を抱かれるようなリーダーシップを持つべきだと考えている。

フォロワーシップについては、以下も参考になるだろう。
http://cobs.jp/careerup/designing/bn/040310/02.html
カーネギー・メロン大学のロバート・ケリー教授が考案した、批判的思考(critical thinking)と貢献(commitment)の高低(それぞれ3段階)の組み合わせによるフォロワーシップのスタイルを紹介している。
上記記事から引用すると、スタイルは以下の5つになるという。
1. 批判型(リーダーを軽視し、秩序を乱す)=高批判的思考×低貢献
2. 盲従型(リーダーに盲従してしまう)=低批判的思考×高貢献
3. 消極型(妥協と諦めによって服従する)=低批判的思考×低貢献
4. 官僚型(官僚主義・形式主義に陥る)=中批判的思考×中貢献
5. 模範型(リーダーを適切にフォローできる)=高批判的思考×高貢献
これも記事からの引用だが、「良きフォロワーとは、単にリーダーに追従するのではなく、批判的思考と貢献の高い次元でバランスのとれている人材」である。
最後に、普通はリーダー(上司)を自分で選べないので、「偶然の機会を生かすことが大事」とも書いている。

「フォロワーシップ型組織の時代~」にはこのようなことも書かれている。
「不確実性の高い現在の社会で、一人あるいは一部のリーダーに依存する組織は、リスクへの感度が悪く、危機に脆く、組織として発揮できるパフォーマンスにも限界がある。フォロワーシップ型の組織こそが、真に強い組織であり、高いパフォーマンスを発揮することができる。何よりも、構成員自身が高いモチベーションを維持し、能力を発揮し、成長し続けられる」
総論としては正しい。
私もこの考えに共感できる。
ただ、強力なリーダーシップを持つ1人の人間が引っ張る組織にもそれなりの強みはあることは、頭の片隅に置いたほうがよいだろう。
カルロス・ゴーンの下V字復活を遂げた、日産の例を持ち出すまでもなく。

フォロワーシップもやり方を間違えれば、組織がばらばらになる恐れもある。
中竹氏いわく(参考: 「情熱大陸」http://www.mbs.jp/jounetsu/2007/01_21.shtml)、「どんなリーダーが来てもそれをきちっと支えてあげるフォロワーが成り立ってる組織ってのが一番強いなってのをずっと感じてた」とのことで、自分は「『リーダーが要らない組織を作り上げる』ためのリーダー」と思っていたとのことだ。
しかし、この「リーダーが要らない組織」という言葉だけが独り歩きし、組織やグループのメンバーが目的を共有せず、自分勝手に行動してもよい、と勘違いしてしまうと、最悪の場合組織は空中分解一歩手前の危険な状態に陥る可能性もある。
ゆえに、フォロワーシップを生かすための様々なさじ加減は難しいといえる。

とはいえ、フォロワーシップ型組織は現代において有効な組織の形態であろう。
現代社会では、リーダーの指示の下トップダウンで動くだけではだめなのだから。
目的を共有し、またリーダーの立場を理解する一方、上からの指示を待つことなく、時にはリーダーへの進言も含め、自律的に考え行動することの大切さは、いまもこれからも変わらない。

GoogleがMSのY!買収に物申す

・MicrosoftのYahoo!の買収に関するGoogleの公式見解に関して一言(http://satoshi.blogs.com/life/2008/02/microsoftyahoog.html)より。

Googleが公式blogの"Yahoo! and the future of the Internet" (http://googleblog.blogspot.com/2008/02/yahoo-and-future-of-internet.html)で意見を述べたとのこと。
Googleの主張としては次の通りだろう(原文を引用)。
-Microsoft's hostile bid for Yahoo! raises troubling questions.
-It's about preserving the underlying principles of the Internet: openness and innovation.
-We take Internet openness, choice and innovation seriously. They are the core of our culture.

かつてMSに在籍し、今回のYahoo!買収も成功すると見ている(参考: Microsoft/Yahoo:買収はたぶん成功するだろうけど、問題はそれからだ)中島氏は、blogで「GoogleはこれをMicrosoftに対するネガティブ・キャンペーンの絶好の機会と捉えた」と分析し、買収阻止に成功すればGoogleにはプラスとなり、失敗してもYahoo!からの人材引き抜きが楽になると見る。
一方で、今回のGoogle公式blogの記事は「逆にGoogleに対するイメージにマイナスにならないか心配だ」とも書いている。

個人的には、MicrosoftがYahoo!を買収することにより、インターネットのオープン性やイノベーション(革新性)が大きく薄れるとは思えない。
一方で、今回の買収提案を静観すると私は思っていたGoogleは、わざわざ公式blogで意見を表明した。
それも、「インターネットのオープン性やイノベーション」という言葉を持ち出して、だ。
これは、GoogleにとってMSのYahoo!買収がある程度の脅威となることを認めたに等しい。
事実、MicrosoftのYahoo!買収以後、Googleの株価は低下している。

もっとも、Googleはオープンソースへの理解はあり、Androidなどのオープンソースプロジェクトは数多く、またオープンソースで有名な方も入社されているが、さすがに検索エンジンなどの自社のコア技術については公開していない。
一方で、オープンソースへの理解が足りないといわれるMicrosoftは、ここ数年ほんの少しではあるがオープンソースコミュニティへ歩み寄ろうとしているのだ。
例えば、Office 2007で採用した文書保存形式のOpen XMLフォーマットの公開と標準化はオープンソース界から批判されたが(http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20346621,00.htm)、プロプライエタリな(制限された)規格にこだわっていた従来ではなかった動きといえる。
これらの点も考えると、MicrosoftはYahoo!買収後もオープンソース界の動きを意識せざるを得ず、それは間接的にインターネットのオープン性を保つことへとつながるだろう。

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