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August 2008

生物学と情報学の融合に見る人材の専門性

生物学と情報学を融合(2008/7/23 読売)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20080723-OYT8T00222.htm
※追記: 現在はリンク切れ

以前、「早大理工と筑波大医学群が連携、何をもたらす?」(http://danpaleta.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post-0d76.html)というblogを書いた。
この内容に関連して、その後読売新聞で上のような記事が出たので、ここで紹介。
記事では、東大で設立され、生物情報学を主に担う「オーミクス情報センター」を主に取り上げ、昨年度設立された理学部の生物情報科学科のことにも言及している。

上で取り扱っている研究は、生物学、医学、薬学、情報(工)学(計算機科学、情報科学、……)といった分野が絡み合い、横断している。
それだけに、たとえば「ゲノムなどで得られた膨大な情報の解析」(記事中)などは特定分野だけ詳しくてもだめである。
記事でも服部センター長の「これまでの研究は一個一個の遺伝子やたんぱく質の役割を解析していればよかったが、今後はコンピューターを駆使して生命現象を俯瞰(ふかん)的にとらえる必要がある」という発言を載せている。

コンピュータを使うのは手段であり、目的ではない。
とはいえ、記事にある「遺伝子の働き方やたんぱく質の相互作用などの情報を基に、細胞の中で起こる現象をすべてコンピューター内で再現できれば、薬がどのように作用するか分かり、新薬開発も加速」させるといった、様々な分野が絡み合う課題を解決するという目的の達成は難しい。
上ではコンピュータに詳しくなければ、あるいはITの専門家と協力しなければ、解決は難しいだろう。
こういった状況の中で問題を解決していくには、ゼネラリストやスペシャリストだけではなく、ポリヴァレントなヴァーサタイリストが必要ではないだろうか。
それに向け、生物情報科学科のような学科が作られたことはよいことだし、こういったところで学べる学生がうらやましくも感じる。
そして、いずれは生物情報科学科のような学科、医学、薬学などのうち2つの学位が取れる大学や大学連合(「早大理工と筑波大医学群が連携、何をもたらす?」で取り上げたデュアル・ディグリーとも関連)も生まれるだろう。

ただ、「複数の分野に精通し、かつ視野も広く、そしてなにより臨機応変に活動できる」人材を育成するというのは、スペシャリストとゼネラリストそれぞれの素養のバランスも必要になると考えている。
そのバランスを取るのは、ある意味アンビヴァレント(表裏一体、二律背反 )で、難しい。
私は「ヴァーサタイリストとポリヴァレントの共通点、そして重要性」(http://danpaleta.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post-52bc.html)で「まず1つの分野に、それから複数の分野に精通することがヴァーサタイリスト、ポリヴァレントへ近づく道」と趣旨の文を書いた。
それが今の私が考えうる、スペシャリストとゼネラリストそれぞれの素養のバランスを取る方法の1つである。
ただ、もっとよい方法もあるのだろうが、じっくり考えないと出てこない。
それゆえのアンビヴァレントな課題である。

さまよえる蒼い博士

さまよえる「博士」25%「浪人」
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_08072804.cfm

博士、特に文系は就職難というのは依然として解消されていないようだ。
とはいえ、その根拠となるデータが記事にはないので、実際はなんともいえないが。
記事の通り25%が浪人なら、残り75%はなんとか社会へ出ているのだから(その数字にも「あや」があり、都合よく解釈されている点もあるだろうけど。実際の浪人は25%以上だけど、もっといそうな気はする)。
あと、博士に限らず、競争はあってしかるべきだろう。
卒業後の進路を考えずに博士課程の定員を増やしていったことは問題であるが、一方で出口をそのままに、入口を広げることで競争促進を考えたのなら、それはそれで仕方ない。
その場合、競争に敗れた人たちへの救済策は必要だ。

あと、企業側からは「専門知識で頭はこちこち」「社会常識や協調性に欠ける」偏見があるとのことだが、象牙の塔にこもってばかりではそうなっても仕方ないだろう。
ほかに、「院生は優秀ですよ。なにせ一つの研究をやり遂げた人たちだから。何もしなかった学生より、能力は磨かれている」と力説する人がいる一方で、(記事にはないが)博士課程は修士で就職できなかった人間が行くところ、なんて冷ややかな見方をしている人もいるし、実際そういう人間もいる。
こういった問題を少しずつ解決していかないことには、博士の就職難はいつまでたっても解決しない。

関連記事
・定職のない博士に光を
http://danpaleta.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post-ba52.html
・企業実習は博士への光か?
http://danpaleta.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post-c39f.html

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