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医薬品のネット販売に潜む問題

薬事法の改正について、厚生労働省の方針で決まったようだ。
・“予定通り”に決着した医薬品ネット販売
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19876.html
・厚労省、医薬品のネット販売規制へ 既定路線撤回せず
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081224AT3S2300O23122008.html
参考(2008年2月時点での議論): http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/02/s0208-14i.html

これには賛否両論があり、ネット販売側、利用者側などさまざまな意見がある。

・困ります、私たち。~ネットで薬が買えないなんて~
https://common2.rakuten.co.jp/form/medicine/net_signature/
・大衆薬のネット通販禁止を―薬害被害者団体など
http://www.excite.co.jp/News/society/20081119/Cabrain_19235.html
・医薬品のインターネット販売に関する日本薬剤師会の見解
http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kiseikanwa/pdf/net_kenkai.pdf
・一般用医薬品のインターネット販売の規制を求める要望書
http://homepage1.nifty.com/hkr/yakugai/iyakuhin-hanbai/naikakufu-youbou081117.pdf

これらについては、以下の記事が詳しい。
・医薬品のネット販売規制、賛否両論より大切なもの
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081209/118446/

どの意見にも、耳を傾けるべき点はある。
ネット販売側が「買えなくなる」と例に取り上げている薬には、置き薬にあるような薬がいろいろとあり、確かに不便になる。
また、薬剤師側は「一般用医薬品の販売は対面販売が原則であり、インターネット販売については禁止、少なくとも第三類医薬品に限定すべきである」と主張している。
「医薬品には必ずリスクである副作用の発生が伴っている」「医薬品の販売は、利便性よりも安全性がより確保できる制度のもとで行われることが重要である」はもっともであり、私も賛成である。
「一般用医薬品のインターネット販売の規制を求める要望書」にある「消費者の求める『利便性』は、あくまで『安全性』を前提にしたものです」も、私はうなずける。
加えて、「一般用医薬品のインターネット販売の規制を求める要望書」には十数の薬害被害者団体が賛同している点は、無視してはいけない。

私が書こうとしていることは、実はだいたい上の「医薬品のネット販売規制、賛否両論より大切なもの」の記事で書かれている。
(良くも悪くも上の記事の受け売り状態かもしれないけれど)
それは、ネット販売側と薬剤師側の意見の一部は、暗に自分たちの商売チャンスや利権を守りたい、と主張したいだけでは、ということだ。
特にネット販売側にいたっては、こじつけに近い主張すら見受けられる(特に「困ります、私たち。~ネットで薬が買えないなんて~」の真ん中あたり)のは私だけだろうか。
ビジネスチャンスを奪われたくがないために意見を出すのは、愚かでしかない。

「医薬品のネット販売規制、賛否両論より大切なもの」では、今すぐに薬が必要な状況で「ネットで医薬品を買う確率は、限りなくゼロに近い。理由は明快──待てないからだ」と書かれている。
「一般用医薬品のインターネット販売の規制を求める要望書」で書かれている、「一般用医薬品の安全性確保は大きく後退し、将来に大きな禍根を残す」が極端だという意見ともども、ある程度納得できる。

処方箋の必要な薬と比べ、副作用などの問題が少なく、比較的安全性が高い医薬品であっても、リスクの大小は千差万別であり、だからこそ厚生労働省は3段階の分類をしようとしているのだろう。
そういう背景を無視して、ネット側の主張である、医薬品はすべてネットで販売できるようにしよう、では乱暴である。
医薬品を購入するに当たり、時には薬剤師のアドバイスが必要な場面もあるからだ。
そのための薬剤師ではないのか。
また、「“予定通り”に決着した医薬品ネット販売」では、「極論すれば、ネットで購入した催眠剤で自殺者が出たことが問題ならば、それは科学的根拠の有無を問わず、厚労省の責任だろう」と書かれてある。
国民を守るべき厚労省としては、医薬品をすべてネットで販売可能とするのは甘すぎるとの批判のそしりを免れないし、かといって厳しすぎても国民の利益は奪われるだろう。

安全性の確保(薬剤師という専門家の存在も含めて)と消費者の利益を天秤にかければ、現時点では第三類医薬品、せいぜい第ニ類医薬品に限定して販売するのが妥当というのが私の考えである。
その後、徐々に対象を広げていくのがよいのではないか。
規制緩和の流れとはやや逆行するかもしれないが、安全性には代えられないだろう。

薬剤師については、「医薬品のネット販売規制、 賛否両論より大切なもの」のコメントに「薬科大学の教育システムは薬剤師を養成するためにあるのではなく、薬科大学教員にメシを食わせるためにあります。医薬品の具体的な知識なんて教えられる教員はいないし、その気もない。(中略)医薬品に関しては素人同然の人間が『薬剤師』という名札をつけて売り場にいるだけというのが現実です。つまり、薬剤師に売らせたって、安全の確保なんかできないんですよ」とある。
こういう状況が正しいのなら、「医薬品のインターネット販売に関する日本薬剤師会の見解」が薬剤師の利権を守るために出したものだといううがった見方をされても、仕方ないだろう。

「医薬品のネット販売規制、賛否両論より大切なもの」の著者は、「厚労省にふりまわされ、オンライン販売側と日本薬剤師会、日本薬剤師会薬害オンブズパースン、全国薬害被害者団体連絡協議会が、『消費者の重大な権利が侵害』『将来に大きな禍根を残す』といいあうだけでは、不幸になるのは消費者なのだ。相互に現実は現実と認め、『利便性』と『安全性』を両立させるために協力することが第一歩である」と結んでいる。
この意見も踏まえつつ、安全性の確保と消費者の利益(利便性)を天秤にかけ、バランスの取れたネット販売制度が生まれることを私は望む。

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