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May 2009

大学進学に見る格差の固定

日本では諸外国と比べ、子供を大学へ通わせるのにお金がかかるといわれている。

・現在の世界各国の大学の学費
http://r25.jp/b/wp/a/wp/n/%91%E5%8Aw/i/%8C%BB%8D%DD%82%CC%90%A2%8AE%8Ae%8D%91%82%CC%91%E5%8Aw%82%CC%8Aw%94%EF

上記記事によれば、『経済セミナー No.636』において、「日本の国立大学の学費は極めて高く、高等教育の機会が経済的側面において公平に確保されているとは言えない」、「国公立大学でも諸外国との比較で重い負担を強いられている」ことを指摘している。

また、「国公立大の授業料を引き下げよう」(http://mainichi.jp/select/biz/katsuma/crosstalk/2009/05/post-17.html)では、「経済協力開発機構(OECD)主要12カ国の中で、日本の家計に占める教育費負担の割合は22%」とある。これが少子化や格差固定、内需不振の弊害を生んでいると、記事では指摘している。

こちらでは、先進国の多くは大学授業料が日本よりもずっと安いなど、諸外国の学費の違いをまとめている。
http://www.jcp.or.jp/youth/gakuhi/co_01.html

そして、親の所得格差がもたらす教育への影響を問題視している方もいる。

・「教育費をタダにせよ」親の所得格差が生み出す教育格差は亡国への道
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090407/191216/

上の記事の著者は、大学通学にあたり、「子どもの教育費を払い続けるのは至難の業と言っていい」、「親の所得によって、教育の格差がつく」などと指摘している。
そして、スウェーデンを引き合いにして、教育などの制度が作り出す社会の安心について説明をしている。

参考までに、アメリカのレポートを紹介する。
- Promoting Economic Mobility by Increasing Postsecondary Education
http://www.brookings.edu/papers/2009/05_economic_mobility_haskins.aspx?emc=lm&m=225382&l=17&v=1137380
大学へ通うと収入が上がること、貧しい家庭では大学進学率や中退率が低いことを挙げている。
その解決策として、奨学金の再構築などを提案している。
アメリカでは奨学金制度が知れ渡っていない、また貧しい家庭では返済義務のある奨学金は避ける傾向がある、などの話もあるようで、こういったことが問題を大きくしているのかもしれない。
大学へ行けば収入が上がり、格差の固定を防ぐことは出来るが、大学へなかなか進まない、あるいは入っても中退してしまう。
上で書いたアメリカの実態は、日本でも当てはまる面があるだろう。
だからこそ、上の報告書にある指摘を他国のことと流すのではなく、反面教師とすべきである。

さらに、このような記事もある。

・「大企業」「大卒」「正社員」が有利―日本人の貧富拡大
http://president.jp.reuters.com/article/2009/02/18/9021DD46-F97E-11DD-849B-AB073F99CD51-1.php

これまで取り上げた記事のように、大学に通わせるにもお金がかかる。
それゆえ、「学歴による年収格差は子ども世代においても学歴格差を招き、ゆくゆくは年収格差を固定する方向に働きかねない」ことの理解が必要だと、記事では書いている。
さらに上記記事では、「常識的で平凡だが、非常に重い意味を持つ教訓」として、「できるだけ大きな企業へ正社員として就職する」、「高卒時点ではなく、大学や大学院を出てから入社試験にチャレンジする」ことをあげている。

もっとも、国公立大学の授業料を安くしても、その分は税金で穴埋めされるだろう。
そうなると、大学の費用負担を国民全体で広く浅く行うことになるので、国民の理解が得られなくてはいけない。
その点は重要だろう。
「国公立大の授業料を引き下げよう」にあるように、「国公立大の学費、入学金は所得に応じたスライド制に」のアイディアなどさまざまなアイディアを出し、国民に受け入れられやすい方法を決めていくことが、今後は大切になるか。
あとは、無料にしたらしたで問題はあるだろう(在学年限がなく、かつ授業料も安いヨーロッパでは、学生がずっと大学に残るといったことがあるらしい)。
そういった点も踏まえ、大学の費用の負担を考えていくべきである。

日本を出よ~留学の必要性

・海外で勉強して働こう
http://www.chikawatanabe.com/blog/2009/04/future_of_japan.html

冒頭の

1)日本はもう立ち直れないと思う。
だから、
2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい。

が印象的。

日本に留まりたかったら、一度は留学しておくべき
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51206791.html
では、こう書いている。

現実は実はもっと厳しい。
(中略)
「海外を知らないと日本に留まる資格もない」になりつつあるということは、日本という「怪物」が弱っていることの裏返しでもある。もはや日本を支える人材を、日本国内だけで育てることが無理なのだ。

dankogai氏の上記記事をはじめ、渡辺千賀氏のblogにはさまざまな反響があったようだ。
渡辺氏の記事については、極端に書くと「日本を捨てろ」などの誤解もあったようで、後に本人がフォローの記事を書いている。

・国や組織はどういう時に良くなるか
http://www.chikawatanabe.com/blog/2009/04/how_things_get_better.html

記事のはじめでは、海外に出た人たちが後に「行った国と日本をつなぐ仕事をする」など海外経験を生かすことで、「日本の将来の担い手になったり、日本の国際社会からの孤立を救うことになる」とまとめている。
「(ちなみに、海外=アメリカ、留学=アメリカ、ではありません。もっと広く「自分にあった場所」を探すのがよろしいかと。)」ともまとめている。
これはもっともである。
数多くの国がある中、アメリカ以外の国にも目を向けることは重要だ。
世界のよいものを日本に取り入れつつ、日本として大切にすべきものをきちんと大切にしていく上でも、心にとどめておきたいものだ。
(ついでに書くと英語=アメリカ英語でもない)
アメリカ中心に物事を見る悪い癖が付いている人にとっては、注意すべき点だろう。
そのほか、上記記事では次の指摘もしている。
「どんな組織も20代にはやる気のあふれた人たちが、30代には「本当はこうすればよいのに!」という斬新かつ具体的な革新案・改革案を持った人がたくさんいるもの。(こういう人たちがいなかったら、その組織は本当に終わっている。)そして、よい組織とは、上層部が、そういう人たちをきちんと引き上げて登用し、彼らのアイデアを実行に移していける組織」
「今の日本の最大の問題は政治」
さらにGDPが十数年前と比べ低下していることも指摘している。
最後はこう結んでいる。

「海外に行きさえすれば何とかなる」、とか、「留学さえすれば何とかなる」、というほどには世の中は甘くない。(中略)自分自身に力がついていきさえすれば、必ず道は開けることでしょう。

このままでは、日本の国際的地位は低下していくだろう。
上で書いたことの繰り返しになるが、このようなときだからこそ、「世界のよいものを日本に取り入れつつ、日本として大切にすべきものをきちんと大切にしていく」必要がある。
そのためには、日本を出て、世界で学ぶ必要があるのかもしれない。
いくらインターネットが普及し、世界の情報が日本にいながら手に入るとはいえ、世界の人たちと直接会えるわけではなく、人と人との出会いから得られる「情報」や「学び」もある。
この点はインターネットが普及した現代だからこそ、考えるべきことである。

知の構造化と温暖化懐疑論

少し前の記事。

・「知の構造化」で温暖化懐疑論に終止符を
http://eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=MMECi1000006042009

温暖化懐疑論に対し、小宮山氏は次のように述べている。
「懐疑論者は『温度の補正が不十分』とか『温暖化の原因は水蒸気』とか『太陽の活動が活発になれば温暖化する』などと指摘しています。しかしそういったことを科学者たちが考えていないはずがないじゃないですか。全部わかった上での話をしているわけです」
また、懐疑論については反論できる上、懐疑論者はIPCCの報告書をちゃんと読んでいないと斬り捨てている。

「ジグソーパズルのピース(知識の断片)を集めて全体像を描く作業」である「知の構造化」を、地球温暖化のような複雑な問題に対し、どう適用していくか。
期待したい。

・参考
地球温暖化研究者が斬る
http://danpaleta.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-1a5b.html

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